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~”DJだけで食べていきたい”
 飛びこんだラジオの世界~

両立に迷いはありましたか?

栗:  ずっと迷ってましたよ。できればDJで食っていきたかったけれど、親父の会社もあるし、でも継ぐ気がなくて。親父が積極的に僕に継げって言わなかったので、あまり意識はなかったんですけど。親父の会社がバブルはじけてつぶれてしまったんです。だから、必然的にDJをやらざるをえなかったというか、DJに行かせてもらった感じですね。

 

いすゞには何年いたんですか。

栗:  4年です。3年たった92年の10月にFヨコのDJコンテストに受かってしまって。で辞めようと思ったら、いすゞっていい会社だから“食っていけるまでいていいよ”と言ってくれて所属させてくれたんですよ。認めてくれてたんです、副業を

 

すごいですね!

栗:  そうなんですよ。いまだに僕に仕事をくれますからね、司会とかで。当時の僕の先輩は重役になっているから、「クリちゃんやればいいじゃん」「いいんですか」って言って(笑)

 

いい会社ですね。

栗:  いい会社なんですよ。いい人ばっかり出会ってるんです、僕。

 

DJコンテストに応募するきっかけはなんだったんでしょう。

栗:  DJだけで食っていきたかったから。日本一のDJになりたくてしようがなかったから、DJだけで食うにはどうしたらいいかなと思っていて。夜はDJやって、それ以外もDJで食いたいと押阪さんに相談したら「じゃあ、ラジオでしゃべり手やればいいじゃん」と言われて。僕の中では、レコードまわすDJも、ラジオのDJも、一緒なんです。それが普通なんです。DJをやってることには変わりないので、整合性はとれてるんです。

 

コンテストに受かって最初に担当したラジオ番組は…

栗:  「ウィナーワンダーランド」という番組です。DJコンテストで勝ったからもらえるっていう(笑)。DJコンテストの勝者のワンダーランド。

 

どんな番組だったんでしょう。

栗:  毎週日曜の深夜1時からで30分好きにやれっていう。それで確か7万円くらいもらってましたね。いい時代だから

 

内容はどんな感じだったんですか。

栗:  音楽番組ですよ。FENを聞き始めてからアメリカンラジオに憧れちゃったから。今もそうですけど、ノリがいい感じっていうか。曲のイントロとアウトロで曲紹介して、音楽がずっと流れてるっていうのが好きですから。それを体言させてもらって。押阪さんはいっさい文句言わなかったですよ。

栗原治久さんinterview ②

プロデューサーは押阪さんで、ディレクターは…

栗:  ディレクターも押阪さん。ささっときて、30分テレコ(テープレコーダー)をまわしてピッと録って「お疲れ」って帰る(笑)。

 

そうだったんですね。最初の自分の放送は聴きましたか。

栗:  聴きました。

 

もしかして、聴いて反省するタイプですか?

栗:  やたら研究しますね、自分を。

 

メモしたり…

栗:  そう、ネタ帳とか、今はないかな。結構まじめにやってましたよ。超分析型です。

 

どういう反省をするんですか。曲と合ってなかった…とか。

栗:  テーマは、“アメリカンスタイルのDJを日本語でやるにはどうしたらいいか”という観点ですかね、ずっと。あとは、ラジオのナレーションのDJってこうあるべきっていうのを分析したかな。しゃべりの組み立てとか。乱数表みたいのをつくって。DJが話すべきことみたいのをずっと一覧にして。今でも、DJ講座をやってと言われると、若い人にそれを書いて教えますけど。

例えば、まず、最初はステーションIDが必要だろうと。2番目に自分の名前言うでしょう。3番目には日時と天気の実況があるでしょう。そして、4番目、番組の概略の紹介とタイトルを言うでしょう。それから5番目に番組の内容を説明しますよね。次に6番目、ツーウェイやっていたら呼び込みも必要ですよね。7番目は当然曲紹介がきて、そしてフリートークは8番目最後だという…。理詰めは当時からあったんですよね。僕の仕事だと思ってたから、確固たる信念みたいなもので当時からずっとあった。アメリカのラジオの僕が肌で感じて憧れるところがなんなのかっていうのを全部分析して研究して。それはまだDJコンテスト受かる前ですけれど。アメリカのラジオを録音して、そのDJが何をどこでしゃべっているかを全部紙に書き起こして。するといろんなことがわかってくる。例えば、曲と曲の間でまたいでしゃべるじゃないですか。そのしゃべり出しがどこで始まるというのもいろんなパターンがあることに気付くんですよね。イントロが出てしゃべりだすんじゃなくて。よくイントロトークって言って、イントロから歌がはじまるまでの、ボーカルがのってないインストゥルメンタルでしゃべるのがイントロトークですが、アウトロにもトークがあるじゃないですか。それは、前の曲が終わった後奏からしゃべりだしてたりとか。あ、そうなんだっていう。だから、たとえば、自分がしゃべりたい、もしくはしゃべらなくちゃいけないセンテンスを並べて、計算すると20秒だけど、イントロが17秒だとすると、前の曲の終わり3秒からしゃべりはじめればいいんだ、とか。そういうことをやっていましたね。

 

へえ~!

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