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栗原治久さんinterview ⑤

~栗原さんの想うラジオの今後~

いろいろメディアを取り巻く世界が変わったじゃないですか。その変化はどう感じていますか?

栗:  もろに感じてますね、やっぱり。皆さんがおっしゃっているだろう「ネットの時代」。

 

10年後20年後のラジオ、今後のラジオについてどう考えていますか?

栗:  まず、ラジオは…アメリカのアイハートラジオ(iHeartRadio)はわかりますか? 

 

いいえ。

栗:  一番近いのは日本のradikoという考え方かな。

アメリカのラジオ局って、今、”アイハートラジオ”という配信業者の傘の下にラジオ局がほとんど入っているんですね。アメリカの巨大メディア組織にクリアチャンネルというのがあって、そこに ボブ・ピットマン(MTVの創始者)というメディア王がいるんですけど。僕の認識があっていればですよ。そこがアイハートラジオという配信のプラットフォームを作って、その配信サイトの中にラジオ局がぜんぶ入っちゃってるんですね。だからradikoと同じで、アメリカ国内どこからでも、アイハートラジオのサイトに行けば、どこのラジオ局も聴けるようになっちゃったんです。

 

今、日本のラジオ局もそうですけど、ラジオでかかってる曲をスマホでクリックすると、もうそれがダウンロードできるようになっている。要は、ラジオがダウンロードツールのひとつになっちゃっているんですね。だから、そういう意味では情緒的な言い方をすると、アメリカのラジオはつまらなくなっているんです。僕がなにを言いたいかと言うと、ラジオがどうなるかは…わからないですよね。まぁ、なくならないと思いますよ。特にアメリカは自動車社会なので、基本的にラジオはなくならないはずなんですね。渋滞している間に聴くっていう。日本の場合は、“災害メディア”という生き残りのニュアンスが強くなっていて、 “災害メディア”として残されていくと思うんですけど、どの程度、重宝されるかはわからないし、今よりも、ボリュームが増えることはなく限りなくじり貧の一途をたどるだろうなと僕も思ってるんですね。でも、“じり貧だろうな”って言いたくないから、“どうなるかわからない”という言い方をしてるんですけど。なので今の質問にはその答えです。じり貧だろうなと(笑)。

 

その中で栗原さんはどう処していくんですか?

栗:  これは僕には答えがあるんですけど。僕は、まずディスクジョッキーでラジオ界の人間だとはあまり思っていないんですね。で、DJはいなくならないと勝手に都合のよい解釈をしていて(笑)“音楽を紹介しながら、その場を盛り上げる”という役割の人は、永遠にいるはずだから、DJとしては居場所があればずっと続けていきたい、という想いがあるんです。だから、ラジオがなくなったら僕がいなくなるとはあまり思えないんですよ。ラジオがなくなってもDJはいるだろうと。それこそ、ネットでDJとか。だから、“DJとして自分を磨く”、“DJとして後輩を増やしていく”、“DJの世界をみんなと守っていく”という「DJとしての自分の道」というのはあって、これはこの先も磨いていきたないと思っています。

 

その一方でラジオは…と言ったら、現状じり貧だと思うんだけど、生き残る道というのはメディアミックスしかないと思うんですね。それはなにかといえば、これもまた、アメリカを持ち出しますが、今アメリカのラジオ局は完全に、ケーブルテレビやyoutubeとコラボして映像とリンクしてるんですね。最近はニッポン放送がやり始めましたけど。もう何年も前から、僕、Fヨコの人に、ぜったい映像とリンクして局のyoutubeチャンネルを作ることを言ってるんです。要は、面積も広がるわけだから。いろんな人の出演チャンスも広がるし、そこはそこでスポンサーを取ればいいしメディアミックスができるじゃないですかと。例えば、FMヨコハマだったら、まず可能性があるのは、TVKと組む。まぁTVKの人は絶対そんなことしないと思うんですけど。最近で言うと、J-COMの横浜と組んで、例えば、朝の番組はテレビを入れて、そこでずっと流してたらいいじゃないと。それをやって、youtubeなんかにもチャンネルを作ってあげることによって活路が見出せるんじゃないかなと。要はこのスマホのアイコンと勝負しないといけないですから。みんな、朝、電車に乗って、このアイコンとまずご対面するわけですよね。ここにFMヨコハマがないとだめなんですよ。「Fヨコサイトがあるでしょ」というけど、あれじゃないですよね。いわゆる、facebook、Twitter、メールアカウント、youtube、Ustream、ニコニコ動画、Fm yokohama、じゃないとだめなんですよ。そこと本気で勝負する気がないと。本気で勝負する気で動けばぜんぜん勝てるでしょ。しゃべりのうまい人がいっぱいいるんだし。局単体がFacebook、Twitterと勝負しないとだめですよ。

アドバイスは…”ハードを勉強せよ”

最後に、じり貧になっていくラジオの仕事をしたいと思う人たちにアドバイスをお願いします(笑)

 

栗:  それはやっぱり…「ハードを勉強せよ」じゃないですかね。まず、ラジオってなにってこと。みんなソフトを勉強するじゃないですか。でも、ハードがすごく大事で、FMの電波っていうのはフリークエントモジュレーションというじゃないですか。で、AMはオーディオモジュレーションといって電波の種類が違う。それでアメリカは免許事業、日本は認可事業と言われていて、アメリカはライセンスを取れば誰でもラジオ局が作れる。でも日本は認可事業といって、国が免許を皆伝してくれないと作れないですよね。だから国の規制で、今、各都道府県につき、基本的に一公共一民放となっている。その特区が大阪、東京、名古屋なんかで複数局あるところがありますよね。神奈川は特区じゃないですよね?! だから神奈川県で存在するFM局は、基本的にNHK FMとFMヨコハマだけ。FMヨコハマは、実はFM神奈川なんだけど、当時ネーミングをするときに、神奈川じゃうまくいかないからヨコハマになった、とかそういう歴史があるんですよ。

 

それから、電波には出力というのがあって、5キロと10キロというのがある。なぜか東京のJ-WAVEとTOKYO FMは10キロワットだけど、FMヨコハマは5キロワット。で今までは円海山という135メートルのところからしか電波下ろしていなかったけど、今、大山の1300メートルのところから降り注いでいるから電波が強い。…ということは、マーケットにできる市場の大きさに潜在能力があるんですよと。だからDJが話すべきことというのは、そのエリアをカバーしたところを話すわけだから、ここの土地とここの土地のことだけは、最低、地理だけは覚えておこうね、とか。そういうことを知らないと回り道すると思う。

 

へ~!!(尊敬)そういう風に教えてくれる人は少ないんじゃないんでしょうか。

 

栗:  みんな興味を持たないからじゃないですか?僕一番謎なのは、レーティングでラジオ局の人がよく「首都圏35キロ圏内」と言うけど、首都圏35キロ圏内と神奈川圏域放送がなんで本気で勝負しようと思わなきゃいけないんですか?って。…どこに電波が届いているかっていうのは、すごく意識してますね。あとは、マイクというものも、例えばダイナミックマイクだったら指向性が強いから、こういう風にしゃべるんだけど、AMっていうのは音が別に悪くてもいいから、コンデンサーマイクというマイクが立っていて、漫才師がどこからしゃべっていても音を拾うようになっているとか。さらにデシベルがこうとか、イチケー(1kw)がどうとか、ハードってそういうことも含めて、ぜんぶわかっていれば、なにか自分がやりたい方向とか進むべき道がわかるんじゃないかな、と思うんですけどね。

 

”なにを知らなきゃいけないか”ということすらわからない人が多いんじゃないですか…。

栗:  それは、教えないからじゃないですか?! 閉鎖的なんですよ業界が(笑)

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