The miracle stories on the Radio
放送前夜は予定を入れず早寝の日々…

YOKOHAMA DELIGHTについて教えてください
横浜市の広報番組で、文化、芸術のいろんなイベントを伝えていくコーナーでした。一人でしゃべる時もありましたし、横浜市やイベントの担当者の方に来てもらって、栗原さんと三人でしゃべったりということもありました。でもやってみたら…めちゃめちゃ難しかった(笑)
どういうところが難しかったんですか?
テレビだったら「見てください、これ」で済むのに、それができないということにまだ慣れていなかったので、ものを表現するときに大きさだったり形だったりとかがパッと出てこなかったんですよね。それを毎回毎回反省会をして、ディレクターさんに「あれはもうちょっとこういう風に言ったほうがよかったね」とかそういうのを繰り返して…。栗原さんにも本当に手取り足取り教えていただきました。毎週、「もう一回勝負だ!」とディレクターさんに言われて背中を押されて取り組んでいたので、この番組の前日は2年間まったく予定をいれないで、夜9時か10時には寝て当日の早朝に起きて…という戦闘体制のままに2年が過ぎました。
すごい…。何分の番組だったんですか?
10分です。10分ですけど、ゲストをまじえていくと、ゲストさんにいっぱいしゃべってもらわないといけないけど、自分の色も出していかなきゃいけない。ゲストさんにたくさんしゃべってもらって、自分が言葉が少ないと存在感がない、けど、自分がでしゃばったら台無しにしちゃうし…というのがすごく難しくて、今も答えが出てないかもしれません。
栗原さんに言われたアドバイスで心に残っている言葉はありますか?
そうですね。「ワンタッチで返すようにしろ」って言われて。
サッカーっぽいですね
私がサッカー好きなので、サッカーに例えて教えてもらって、ドリブルをしちゃいけないと。パーンときたらパーンと返してワンタッチで決めるとか…。そういう感じにするのがリズムも壊さないし、リスナーさんをイラつかせない。そして、同じ言葉を繰り返さない。オウム返しは絶対だめだし、長ったらしく自分で理解をしていないことを自分の中で言葉にして流れを止めてもダメだし。こちらがワンフレーズでパンと返して、それにゲストさんがば~っと返してくれるのが一番の形だよ、とかっていうのを教えてもらったんですが、今でもなかなかできないことなので心に留めてがんばってます(笑)。
リスナーとのふれあいで心に残っていることはありますか?
神奈川県で生まれ育っているので、やっぱり神奈川育ちの友人がすごく多くって、みんなリスナーなんですよ。私、NHKのお仕事とかもやっていたことかあったんですけど、別に誰もそれについてふれないんですよ。でも、FMヨコハマのお仕事をしだしてから、すっごく声をかけてもらえるようになりました。もうみんな熱烈なリスナーで。さらにFヨコはリスナーさんが熱烈なので、初めてイベントに出たときに自分の前に列ができたんです。私、それまで10何年レポーターとかテレビのお仕事をしてて、そういう経験がまったくなかったんですよね。世界史の番組をやっていたので、例えば、京都のお寺で番組を見ていた方と出会って「歴史好きになったよ」と言葉をかけてもらって嬉しかったこともあったんですが、自分の前にそういう列ができてサインが必要ということがあんまりなかったので、それはすごいびっくりしました。そこで初めて「あぁ、聴いてる人がこんなにいるんだな」ということに気付くことができました。だから毎回”仕事”としてこなすんじゃなくて、ラジオの向こうにいる人が真剣に聞いてくれていて、しかも「民ちゃん、こないだこうだったね」とかいろいろリスナーさんが言ってくださったりするので、誰かの心にちゃんと入る言葉を言わなくちゃな、と。そういうマイクの向こうの顔を浮かべられるようになりましたね。それが交流の宝物だなと思いました。
素晴らしいですね!さて、インターネットが広がってラジオの環境も変わってきましたが、民さんがラジオ業界に入ったときはもうネット環境でした?
radikoでした。私、FMヨコハマのような大きいラジオ局でしっかり番組に入らせてもらってまだ2年半弱なんですよね。だから、その時にはもうradikoができてて。友達もけっこうradikoで聴いててくれて、毎回メールくれるんですよ。
友達が?(笑)
友達が三人くらい、毎回、感想を送ってくれて(笑)。ありがたいなぁ、熱心だなぁと思って。
民さんは、10年後、ラジオはどうなっていたらいいなと思いますか?
自分が仕事をするようになってから、他のラジオ局を研究のために聴くようになったんですけど、聴きだすと、すっごい生活の一部になりやすいなぁということに気付きました。なので、もうちょっといろんな人の”人生のBGM”くらい身近なものになるといいなと思います。それこそ建物をピッと押すと、なにか流れてくるような形式になっていれば、もうちょっといろんな方がラジオを聴いてくれるだろうし。たぶんいろんなラジオ番組があるので、それぞれに好きなものをみつけてもらうと、本当に情報もいろいろ入ってくるし、音楽も自分の視野で知っているよりも「あー、こんないい音あったんだ」というのに出会えるから。そういう風な人間のすぐ横にあるようなものになったらいいなと思います。
建物をぴっと押すと…というところが気になったんですが、どんなイメージですか?
インターネットの差し込み口みたいなのがあって、押すとラジオが流れる…みたいな。しようと思えば、たぶんできるじゃないですか?いつでもチューニングできるというか、常備態勢になったらいいなと思います。今だとそれこそラジカセなのか、スマートフォンなのか、なにかモノがないと聴けないし、あとその土地を離れると聴けなかったりするので、日本や世界のものがぱっと聴けるようになったらもっと面白いのにな、って思うんですけど。その分、ひとつひとつが大変になるとは思うけども、そういう感じでどこに行っても聴けるように。空の上、飛行機とかも、今はラジオ形式で録音が流れているだけで、飛んでいる間に2回、3回繰り返し聴くことになるじゃないですか?! それがつまんないなと思うので、逆にタイムリーなラジオが流れちゃえばいいのにと思います。
伺っていて、機内放送で生放送があったらすごいなぁと思いました。全機種でリクエスト受け付けたりして、「私、今、北海道に向かう便に乗っています」なんて…
面白いですね。空港に放送基地があって、そこから生放送をしていてそれが各飛行機で聴けるとか。今だと「あれ、もう3回も聴いたし、この曲!」とか思っちゃうので。しかも一ヶ月何回も飛行機に乗ると、番組が変わらないじゃないですか?! すっごく退屈なので、ぜひ飛行機もタイムリーな放送になって欲しいなと思います。
吉村民さんinterview ②

友だちが番組を聞いて感想を送ってくれる…というのは、ある意味、ラジオの地産地消だなぁと思いました。そして、10年後のラジオの姿について、民さんから新鮮なアイデアを聞くことができました!飛行機で生放送~、できそうですね!民さん、これからのご活躍をお祈りしています!